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尿路感染症

尿路感染症は腎臓や膀胱などの尿の通り道に細菌などの感染が起こり、頻尿や発熱、腰痛などが現れる病気です。
通常、感染が起きないようするために、尿の酸性度と自由な流れ,正常な排尿機構,正常に機能する尿管膀胱および尿道の括約筋,免疫学的および粘膜バリアなどがあります。
これらの異常によって尿路感染症が起こります。

何歳ごろが多いのか?

6歳までに,女児の3~7%と男児の1~2%に尿路感染症がみられます。
よく発症する年齢のは2年齢帯に分かれており,第1のピークは乳児期,第2のピークは2歳から4歳までの間(多くの小児にとってトイレトレーニングの時期にあたる)です。
生後2カ月間での女児/男児比は1:1から1:4までと幅がみられます。
女児/男児比は年齢とともに急速に上昇し,生後2カ月から1歳になるまでの期間はおよそ2:1,1歳から2歳になるまでの期間は4:1,4歳以降では5:1以上となります。
女児では,肛門と尿道口が近いこともあり、細菌が尿道を尿の流れとは逆にさかのぼってしまい、膀胱や腎臓で悪さをすることもあります。また比較的頻度は低いが菌血症(※)を来すこともあります。
乳児期以降に女児の頻度が顕著に高くなることには,女児の尿道が短いことと関連することが示唆されています。

※本来、無菌であるはずの血液から最近が検出されること。細菌が全身をめぐって悪さをするので、重症化すると全身の炎症反応をおこし、最悪の場合ショック状態になります。

原因について

小児における尿路感染症の原因としては、尿路の奇形および閉塞や未熟性、便秘、糖尿病、外傷などがあります。

症状

新生児では,尿路感染症の症状と徴候は非特異的であり,哺乳不良,下痢,発育不良,嘔吐,軽度の黄疸(通常は直接ビリルビンの上昇),嗜眠,発熱,低体温症などがみられることがあります。
2歳未満の乳幼児でもまた,発熱や消化管症状(例,嘔吐,下痢,腹痛),悪臭尿など,感染部位を想定しづらい徴候のみとなることがあり、局所的な徴候のない発熱のある乳児の約4~10%が尿路感染症であるとの報告もあります。
2歳以上の小児では,より典型的な膀胱炎または腎盂腎炎の病像を呈するようになります。
膀胱炎の症状としては,排尿困難,頻尿,血尿,尿閉,恥骨上部痛,尿意切迫,そう痒,尿失禁,悪臭尿,遺尿症などがあります。
腎盂腎炎の症状としては,高熱,悪寒,肋骨脊柱角の疼痛および圧痛などがあります。

診断について

尿路感染症を確実に診断するためには,尿検査で膿尿を認め,抗菌薬投与前に正しい方法で採取された尿の細菌培養が陽性になる必要があります。
また境界域の尿所見がみられる患者で,血算と炎症を検出する検査(例,赤沈,C反応性タンパク)を行うことが役立つこともあります。

尿路画像検査

重大な腎尿路奇形が原因の場合、腎臓および膀胱の超音波検査が有用なことがあり、発熱を伴うの尿路感染症の小児で閉塞や水腎症を除外するのに役立ちます。

予後

不能な尿路異常がない限り,適切に管理された小児が腎不全まで進行することはまれです。
しかしながら,感染を繰り返すと,稀に高血圧および末期腎臓病につながることもあります。

治療

抗菌薬の投与を行います。
尿路感染症の治療の目的は,急性感染症の排除,尿路敗血症の予防,および腎実質機能の温存です。
抗菌薬は,重症感を呈する小児全例と,重症感はないが尿路感染症が疑われる小児に開始されます。それ以外の小児では,尿培養の結果を待つことができます。
尿培養は尿路感染症を診断する上でも抗菌薬の感受性を調べる上でも重要です。
治療は一般に7~14日間継続し、臨床的に明らかな効果がみられない場合に限り,治療開始2~3日後に再び尿培養を行うべきです。

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