帯状疱疹ワクチンについて
帯状疱疹の概要
帯状疱疹は、過去に水痘(水ぼうそう)にかかった時に体の中に潜伏した水痘帯状疱疹ウイルスが再活性化することにより、神経に沿って、典型的には体の左右どちらかに帯状に、時に痛みを伴う水疱(水ぶくれ)が出現する病気です。合併症の一つに皮膚の症状が治った後にも痛みが残る「帯状疱疹後神経痛」があり、日常生活に支障をきたすこともあります。
帯状疱疹は、70歳代で発症する方が最も多くなっています。
接種の対象者
以下に該当する方が対象となります
2025年度内に65歳を迎える方
・60~64歳で対象となる方(※1)
・2025年度から2029年度までの5年間の経過措置として、その年度内に70、75、80、85、90、95、100歳(※2)となる方も対象となります。
※1:ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方
※2:100歳以上の方については、2025年度に限り全員対象となります。
使用するワクチンとそのスケジュール
帯状疱疹ワクチンには生ワクチン、組換えワクチンの2種類があり、いずれか1種類を接種します。
各ワクチンは、接種回数や接種方法、接種スケジュール、接種条件、効果とその持続期間、副反応などの特徴が異なっています。本ページ内にそれぞれの特徴について記載しておりますので、接種を希望される方は、記載内容を参考にして医師とも相談の上、接種するワクチンをご検討ください。
ただし、自治体や医療機関により取扱うワクチンが異なる場合がありますので、お住まいの自治体からのご案内もあわせてご確認いただき、必要に応じて自治体にお問合せください。
○ 生ワクチン:皮下に1回接種します。
○ 組換えワクチン:2か月以上の間隔をあけて2回筋肉内に接種します。
病気や治療により、免疫の機能が低下したまたは低下する可能性がある方等は、医師が早期の接種が必要と判断した場合、接種間隔を1か月まで短縮できます。
帯状疱疹に対する効果 |
生ワクチン |
組換えワクチン |
接種後1年時点 |
6割程度の予防効果 |
9割以上の予防効果 |
接種後5年時点 |
4割程度の予防効果 |
9割程度の予防効果 |
接種後10年時点 |
― |
7割程度の予防効果 |
いずれのワクチンも、帯状疱疹やその合併症に対する予防効果が認められています。合併症の一つである、帯状疱疹後神経痛に対するワクチンの効果は、接種後3年時点で、生ワクチンは6割程度、組換えワクチンは9割以上と報告されています。
ワクチンの安全性
ワクチンを接種後に以下のような副反応がみられることがあります。
頻度は不明ですが、生ワクチンについては、アナフィラキシー、血小板減少性紫斑病、無菌性髄膜炎が、組換えワクチンについては、ショック、アナフィラキシーがみられることがあります。
主な副反応の発現割合 |
生ワクチン |
組換えワクチン |
70%以上 |
― |
疼痛* |
30%以上 |
発赤* |
発赤*、筋肉痛、疲労 |
10%以上 |
そう痒感*、熱感*、腫脹*、疼痛*、硬結* |
頭痛、腫脹*、悪寒、発熱、胃腸症状 |
1%以上 |
発疹、倦怠感 |
そう痒感*、倦怠感、その他の疼痛 |
接種を受けられない方
以下の方は、接種を受けることができません。
- この予防接種の接種液の成分によってアナフィラキシーを呈したことがある方
- その他、予防接種を行うことが不適当な状態にあると医師が判断する方
また、以下のような場合は接種を受けることができませんので、治ってから受けるようにしてください。
- 発熱している。
- 重篤な急性疾患にかかっている。
生ワクチンの接種を希望される場合、上記に加えて、病気や治療によって、免疫の低下している方は接種できません。
接種に注意が必要な方
以下の方は、接種にあたって注意が必要なので、あらかじめ医師に相談してください。
- 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患等の基礎疾患を有する方
- これまでに、予防接種を受けて2日以内に発熱や全身の発疹などのアレルギー症状があった方
- けいれんを起こしたことがある方
- 免疫不全と診断されている方や、近親者に先天性免疫不全症の方がいる方
- 帯状疱疹ワクチン(生ワクチン、組換えワクチン)の成分に対してアレルギーを起こすおそれのある方
- 生ワクチンの接種を希望される場合、輸血やガンマグロブリンの注射を受けた方は治療後3か月以上、大量ガンマグロブリン療法を受けた方は治療後6か月以上置いて接種してください。
- 組換えワクチンの接種を希望される場合、血小板減少症や凝固障害を有する方、抗凝固療法を実施されている方は注意が必要です。