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プール熱

発熱、咽頭炎、眼症状を主とする小児の急性ウイルス性感染症で、数種の型のアデノウイルスが原因です。夏期(小規模だが冬期)に地域で流行することもあります。
本疾患は通常夏期に地域全体で流行し、6月頃から徐々に増加しはじめ、7~8月にピークを形成します。
本邦の感染症発生動向調査からみると、過去は夏期に流行の山がみられ、数年おきに流行規模が大小していたが、2003年から冬季にも流行のピークが明確にみられるようになっています。季節を問わず、発生するが、病院や保育園や学校などでも報告されることが多く、5歳以下が約6 割を占めています。
感染経路は、通常飛沫感染、あるいは手指を介した接触感染であり、結膜あるいは上気道からの感染です。プールを介した場合には、汚染した水から結膜への直接侵入と考えられています。

症状について

発熱で発症し、頭痛、食欲不振、全身倦怠感とともに、咽頭炎による咽頭痛、結膜炎にともなう結膜充血、眼痛、羞明、流涙、眼脂を訴え、3~5日間程度持続します。

眼症状は一般的に片方から始まり、その後他方にも出現します。また結膜の炎症は下眼瞼結膜に強く、上眼瞼結膜には弱いことが多いようです。眼に永続的な障害を残すことは通常はありません。
また頚部、特に後頚部のリンパ節の腫脹と圧痛を認めることがあります。潜伏期は5~7日とされていますが、生後14日以内の新生児に感染した場合は全身性感染を起こしやすく、重症化する場合があることが報告されています。
アデノウイルスの血清型のうち、7型は心肺機能低下、免疫機能低下等の基礎疾患のある人、乳幼児、老人では重篤な症状となり、呼吸障害が進行し、さらに細菌の二次感染も併発しやすいことがあります。

検査・治療について

検査所見として特徴的なことは、血清LDH の異常高値、血球減少傾向を認めます。
アデノウイルスの特異的な治療法はなく、対症療法が中心となります。特異的な薬剤の開発も進められていますが、抗アデノウイルス薬として入手可能な薬剤は今のところありません。
確定診断には、患者の鼻汁、唾液、喀痰、糞便、拭い液や洗浄液、胸水、髄液などを検査材料としてウイルス分離を行うか、あるいはウイルス抗原を検出する。眼症状が強い場合には、眼科的治療が必要になることもある。

予防について

予防としては、感染者との密接な接触を避けること、流行時にうがいや手指の消毒を励行することが重要です。
消毒法に関しては、手指に対しては流水と石鹸による手洗い、および90%エタノ-ル、器具に対しては煮沸、次亜塩素酸ソーダを用います。消毒用エタノールの消毒効果は弱いことが知られています。
逆性石鹸、イソプロパノールには抵抗性なので要注意です。7型による感染症では、心肺機能に基礎疾患を有する小児で重症化の危険性が高く、特に院内感染対策上重要です。
プールを介しての流行に対してはプールの塩素濃度を適正(遊離残留塩素濃度が0.4mg/l以上、1.0mg/l以下)に維持することが対策となります。

登校について

学校安全法では、第二種伝染病に位置づけられており、主要症状が消退した後2日を経過するまで出席停止とされています。

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