認知症診療について
「最近、物忘れが多いので、認知症なんでしょうか?」
そんなご質問をお受けすることがあります。
いわゆる「認知症」と言われているものには、よく知られている「アルツハイマー型認知症」から始まり、「レビー小体型認知症」や「脳血管障害認知症」があります。さらに「認知症様症状を引き起こす病気」として「甲状腺機能低下症」「老人性うつ病」「水頭症」「薬剤性認知症」など色々なものがあります。
クリニックでは、まず血液検査などで、甲状腺機能などの認知症様症状を引き起こす、疾患の有無をチェックいたします。また「長谷川式テスト」や「MMSE」などのスクリーニングテストを行い、どうも疑わしいという患者様には「頭部MRI検査」などをお薦めしております。
大事なことは、「認知症」という診断をつけることではなく、「ご本人はもとより、ご家族様が、いかに平穏な日常を送ることができるか」「そのためにはどのようなことが必要か」ということを考えることです。
残念ながら、現在の医学では「認知症」を根本的に解決できる薬はありません。多少進行を遅くするくらいの効果しかありません。それも、MCI(軽度認知機能障害)と言われている段階から開始して、なんとか効果があるかもくらいの話です。しかしながら、「物忘れ」が目立つようになっている段階では、とうの昔にMCIの段階は過ぎてしまっていることが多く、とても早期発見・早期治療など望むべくもありません。
よく言われることですが、「認知症」治療というのは、医療だけでなく介護の領域でもあり、ご本人様とご家族様だけで背負うものではなく、医療スタッフと介護スタッフの両輪でタッグを組み、手当をしていくものであると思っております。